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運航管理システムAPIの概要
運航管理システムについて
将来、多数のドローンが飛び交い、物流や郵便、警備、災害調査、点検、測量、農業などのさまざまな分野で活用されることが期待されています。高密度でドローンが飛び交う世界を想定すると、衝突などの危険を確実に回避し安全な運航を行うため、すべての機体の飛行計画と飛行状況を掌握して、ドローンの運航を統合的に管理・支援する必要があります。さらに、ドローンを安全に運航するためには、気象情報や地形、建物の3次元地図情報をドローン事業者に提供する必要があります。
このような背景のもと、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」では、ドローン運航管理システムの研究開発を進めています。
運航管理システムは、運航管理の対象とする空域およびその空域内を飛行するドローンの情報を集約し、地図情報や気象情報などを参照しながら、対象のドローンの運航を管理および支援することで、複数の機体による空域の共用を安全かつ効率的に行うためのものです。
運航管理システムのアーキテクチャは、本プロジェクトにおいて JAXA が担当する全体設計に基づき開発され、運航管理統合機能、情報提供機能とそれらに接続する運航管理機能群から構成されています。
機能 | 概要 |
---|---|
運航管理統合機能 | ドローンや空域に関する情報を集約して管理し、複数の異なる運航管理システム(接続者)からの運航情報等を共有して、空域全体の安全確保のためのサービスを提供します。飛行計画の段階で各ドローンの飛行経路や離着陸場などの重複が無いように調整します。さらに、ドローンの飛行中の状況を一元管理し、過度な接近などにより、衝突が予測される状況が発生した場合、安全運航に関する情報を運航管理機能群に提供します。 |
情報提供機能 | ドローンが安心・安全に飛行するために必要な詳細な3次元地図情報やドローンが飛行する高度の風速・天候等の気象情報(地理空間情報)を、運航管理機能群に提供します。 |
運航管理機能群 (ドローン事業者) |
ドローンの安全な運航を実現しドローンによるサービスを提供します。また、運航統合管理機能や情報提供機能に接続し、各種情報を取得するとともに、他のドローンサービスやシステムとの重複を防ぐための飛行経路等の情報を運航統合管理機能に提供します。 |
運航管理統合機能について
運航管理統合機能の各機能
飛行計画管理機能(開発者:NEC)
複数のドローン事業者が運航管理機能を用いて提出する飛行計画(飛行経路、空域)の情報を管理し、他の運航管理機能から提出された飛行計画と経路や空域、離発着場使用の干渉などを確認するものです。さらにドローンが安全に飛行できる気象かどうかの確認や、3次元地図情報を活用した建物・地形との干渉の有無なども確認し、飛行計画の干渉があった場合には、運航管理機能群(ドローン事業者)へ計画の見直しを要請します。
空域情報管理機能(開発者:NTTデータ)
複数のドローン事業者が同一空域を協調して安全に利用するために必要な、空域管理の機能を提供します。各情報提供機能から提供される飛行禁止空域や、地表障害物情報などの情報を一元的に管理するとともに、APIを介して運行管理機能群(ドローン事業者)へ提供します。また、前述の静的な情報に加え、災害時など突発的に設定される飛行禁止空域を運航管理機能群(ドローン事業者)に通知する仕組みや、同空域を共有する可能性のある有人航空機の位置情報を運航管理機能群(ドローン事業者)と共有する仕組みを提供します。
飛行状況管理機能(開発者:日立製作所)
複数事業者のドローンが飛行する状況下において、各事業者の運航管理機能から通知されるリアルタイムな飛行状況情報を受信し、飛行中の全てのドローンの位置情報、速度、飛行進路の把握を行います。また、ドローン同士、ドローンと飛行禁止エリアおよび地表障害物との近接状況、飛行計画と実際の飛行経路の差分を監視し、運航管理機能群(ドローン事業者)に注意喚起を行います。
運航管理統合機能に関する過去の実証について
2018年12月に運航統合管理機能を用いた実証実験を福島ロボットテストフィールドにおいて実施しています。
以下のリンクよりご覧ください。
同一空域・複数ドローン事業者のための運航管理システム実証実験の動画を公開
情報提供機能について
3次元地図情報及び気象情報(開発者:ゼンリン、日本気象協会)
福島ロボットテストフィールドを含む南相馬市、浪江町エリアにおいて、ドローンの安全飛行ルートの作成や送電鉄塔や建築物などの障害物への接近の検知に必要な、正確な高さデータを有する3次元地図情報を整備しました。また、福島ロボットテストフィールドの気象観測装置のデータを利用し、高解像度・高頻度に更新するドローン専用の風情報の提供や雨の情報を整備しています。
上記にかかる、地理空間情報をAPIを通じて提供します。
APIの概要
運航管理システムのうち、「運航管理機能」(ドローン事業者)が「運航管理統合機能」や「情報提供機能」と通信を行う部分のAPIを公開します。「運航管理統合機能」により、他のドローン事業者と飛行計画やリアルタイムの飛行状況および飛行禁止空域など空域の安全に関する情報を共有するサービスを利用することが可能となります。また、「情報提供機能」により、ドローンを安全に運航するために必要な地形、障害物、飛行規制エリアを含む3次元地図情報や、動的情報としてドローンが飛行する高度の風速などの気象情報を入手することが可能となります。
これらの情報はドローン事業者間で同一の情報が提供されるため、情報の差による誤認識が発生しないという特長があります。
現在は、運航管理システムのAPI仕様書を公開しています。これによりドローン事業者は相互接続試験に向けたソフト開発に着手が可能となっています。またAPIのテストツールも公開しています。
API概要説明資料
APIの概要が分かる資料を公開しています。
以下のリンクよりご覧ください。
「ドローン運航のための相互接続シンポジウム」2019年7月26日NEC発表資料(PDF)
API接続で可能となること
◆ドローンの運航にかかる情報共有
複数事業者・複数目的のドローンが多数同一空域で飛行する場合、飛行の安全性を確保するために、他の事業者が運用するドローンの情報共有が必要となります。運航管理統合機能では以下のサービスを提供しています。APIによりこれらの機能を利用いただくことができます。
1.飛行前に計画を申請し他事業者と干渉しないことを確認する
2.飛行中にドローンの位置を共有する
3.危険状態の時に警報を受け取り対処する
4.安全に飛行するための空域の情報を参照し活用する
◆ドローンの運航条件(地形や気象)の把握
ドローンが安心・安全に飛行するために、ドローンの飛行に影響を与える地形情報(3次元地図)及び風や雨等の気象条件を適切に把握する必要があります。情報提供機能では、福島ロボットテストフィールドおよびその周辺地域の3次元地図情報及びドローンの飛行高度に応じた気象情報(風・雨)を提供しています。 APIによりこれらの情報を取得し、利用いただくことができます。